(1) イタリアからの出発

チマッティ神父の日誌より

1925年12月29日、最初の宣教師のグループは、ドイツの客船「フルダ号」に乗り、日本を目指してジェノバを出港した。九州(大分と宮崎の両県)を離れるパリミッションの神父たちの後を継ぐためであった。これは、長崎教区のコンバーズ司教が、パリミッションの長上モンシ二ヨール・デガブリアン師の同意の上で、サレジオ会と教皇庁福音宣教省に依頼したことだった。最初の宣教団の構成メンバーは、次のとおりである。〔参考のため、それぞれの年齢も加える〕

ヴィンチェンツォ・チマッティ 司祭 〔46歳〕 (イタリア人) ヴァルサリチェ支部より
ジョバンニ・タンギー 司祭 〔45歳〕 (フランス人) スペインより
アントニオ・カヴォリ 司祭 〔37歳〕 (イタリア人) ペルージャ支部より
ピエトロ・ピアチェンツァ 司祭 〔26歳〕 (イタリア人) ランツォ支部より
レオーネ・リビアべーラ 司祭 〔30歳〕 (イタリア人) ローマ支部より
アンジェロ・マルジャリア 司祭 〔27歳〕 (イタリア人) エジプト アレクサンドリアより
ルイジ・グアスキーノ 修道士 〔32歳〕 (イタリア人) アオスタ支部より
アルフォンソ・メルリーノ 修道士 〔24歳〕 (イタリア人) トリノ マルティネット支部より
ジョバンニ・デ・マッティア 修道士 〔37歳〕 (イタリア人) ファエンツァ支部より

乗船券
乗船名簿

一行の派遣は、サレジオ会の海外活動50周年の記念すべき年に行われた。今回の日本への派遣は、新規事業だったので、長上たちは一行がローマに赴き、教皇の特別な祝福を受けてから出発することを望んだ。教皇は、忘れ得ぬ特別な謁見の中で、私たちに次のような言葉を述べられた。

「皆さんは、長上や善意の人びとに祝福されて出発しますが、私も皆さんの宣教を祝福します。皆さんが派遣される場所は、これからとても期待され、過去には多くの実りをもたらし、偉大な宣教師たちが蒔いた種の跡が残っている地域です。ですから、あなたがたの召し出しと宣教活動に要求される確固たる信念を抱きながら出発しなさい。(ここで教皇は、私たちを祝福された)。皆さんが出発するのは、〔サレジオ会の〕最初の宣教師がアルゼンチンとパタゴニアに派遣された輝かしい記念の年です。日本への派遣が同様の成果をもたらしますことを祈ります。イエス・キリストに派遣された使徒たちと同じように、出発しなさい。彼らと同じ心の姿勢を持って、委ねられた人びとの心の中に神のみ国を広めるために働きなさい。」

派遣された宣教師たち チマッティ神父(拡大)

〔サレジオ会出身〕のカリエーロ枢機卿のことも忘れなかった。彼は、日本の宣教地一番の恩人であり、この派遣の実現のために尽力し、最初の旅費も出してくださった方である。宣教師たち一人一人も、公演を開催し、友人、恩人、教え子、卒業生たちなどに手紙を書いたりして、あらゆる方法で支援を依頼し、贈り物や寄付が寄せられるよう、宣教地の友人の輪を広めるようにした。

出発前の感動的な派遣式や、旅の支度、友人や恩人たちへの最後の挨拶、長上たち、特にに尊敬すべきリナルデイ総長の思い出の言葉など、あれこれするうちに、あっという間に12月29日、ジェノバを出港する日が来た。

 

Margiaria Angelo マルジャリア・アンジェロ神父の証言

出発前、総長リナルディ神父は、わざわざ私たちのためにドン・ボスコの部屋でミサを捧げてくれて、次の言葉を残してくれた。「あなたたちは、文化的にも経済的にも発展している、遠い国へ出発しようとしています。あなたたちに期待されることは、ただひとつ。イエス・キリスト、十字架に付けられたキリストの愛をもたらすことです!(T,4,35)

サレジオ会本部(トリノ)

 

1926年1月2日ポート・サイドより
Rinaldi Filippoリナルディ・フィリポ神父、総長へ

敬愛なるリナルディ神父

無事にポート・サイドに着きました。(略)乗組員は皆プロテスタントですが、とても親切、まじめです。すべてにおいてよく世話してくれます。

乗客もほとんど外国人。イタリア人は、我々サレジオ会員29人と3人の扶助者聖母会のシスターズ、また演奏のために日本と中国に向かうイタリア歌劇団の人々(その中のひとりは、ミラノのサレジオ学校の卒業生)、合わせて50人余りです。皆、キリスト信者らしく、イタリア人らしく元旦を祝いました。ウィーン大学で勉強してきた若い日本人も、一緒にミサに参加しました。(略)

違う環境にあって、世間の便宜や雑音の中にあっても、できるだけ心の平安を保ち、修道生活を積極的に営むようにしています。

リナルディ神父

私個人としては、イエス様に自分自身を犠牲として捧げ、与えてくださった能力や、毎日寛大に与えてくださる善意を捧げるようにしています。何でも知っていると思うこの傲慢な私は、今述べたこと以外に何もできません。私は、イエス様だけ、また、任せてくださる人びとの魂を愛し、出発をもって断ち切った執着から完全に清められるよう努力しています。イエス様が私の奉献を受け入れてくださいますよう、お祈りください。私の魂が救われ、神のお恵みにより日本人の心が開かれるためです。

目上の方々によろしく。私たちは、毎日、皆さんを思い出しています。皆を、特に誰よりも必要とするこの私を(これは本当です!)祝福してください。

敬愛するあなたの子 V.チマッティ神父