日本聖骸布研究会 第4回研究会報告

 テーマ「2002 年の聖骸布大修復と新しい発見」

2002年11月16日、調布、サレジオ神学院研修室で 開催された研究会での
コンプリ神父の講演要旨は次のとおり。

今回の大修復の経緯聖骸布について歴史的な出来事として、大掛かりな修復が行われたというニュースが
8月中旬に流れて驚かされた。9月21 日にその結果が発表されITのホームページにものったが、 ようやく
11月になって写真を収録した本が届いて、今日お見せすることができる。 (修復後の聖骸布)
ご承知のように、聖骸布は1532年12月3日・4日の夜に火災に遭い、1534年、焼け穴に約30箇所の継ぎあてと
全体の裏打ち布がつけられた。その後、軸に巻いて保存されるようになった。公開のときに広げることを
繰り返していたが、そのため、しわができる、ついている血痕が少しずつ剥げ落ちるなどの問題があった。
一方、2000年の公開後の調査で裏打ち布との間にスキャナーを入れて調べたところ、焼けかすなどのごみが
たまっていることが判り今回の修復のきっかけとなった。

< 大修復の概要 >

今年6月中旬から約35日間かけてスイスの繊維の専門家Flury Lembergを中心に、保全修復作業が行われた。
先ず焼け穴のあて布30枚をと裏打ちの布を取り外し、穴の周りの焦げた部分をピンセットで取り除いた。
(小片は箇所別に別途保管される)次に、外した段階で聖骸布両面の写真を撮影し、両面をスキャーナーで
収録した。裏面の全体写真ははじめてのもので画期的である。さらに、全体に新しい裏打ち布を付け、焼け穴の
周囲をずれないように極細の糸で留めた後、聖骸布は、平らな状態で保存するための恒温、恒湿で中性ガスが
充たされ外気と遮断された防弾ガラスケースに収めて従来とおりトリノ大聖堂に安置されている。

< スライドによる説明 >

聖骸布の元の状態、2000年撮影の写真、新しい保存ケース、2002 年撮影の裏面の写真などを映写した。

< 保全修復作業で判ったこと >

@ 聖骸布の裏面には人の姿は無く、像は表面だけであることが改めて確認された。ただ、髪の毛はかすかに
裏面にも出ている。これは油のようなものによるかと考えられるが、今後の研究によらなければまだ断定でき
ない。また、血痕は裏面にもしみてはいるが、表面より薄い。

A 人像の前面を左に置くと聖骸布の上辺に幅約8cmの細長い布が縫い付けられているがその縫い方は特別の
方法であり、イスラエルの死海近くの古代要塞集落マサダ(BC2C~AD1C)に見つかっている布にも見られる。
これは、聖骸布の信憑性を裏付ける有力な証拠と思われる。

その他、今回撮影の鮮明な写真により研究がさらに進むことが期待される。

< 聖骸布の寸法の測定 >

今回、布の多くのしわが消えたことで、聖骸布の寸法もいくらか変わってきた。以前、長さ434.5cm
であったのに対して、今度は442.5cmとなり、幅は、112.5cmに対して113.7cmとになった
のである。

< 新しい資料の配布 >

新しい聖骸布の姿を知るために、トリノから新しい本を注文し、希望者13名にそれを配ることができた。
おそらく、日本において初めて見られるのではないかと思う。