聖骸布は、コロナ放電によるものか

2006年10月13日、東京12チャンネルで『新・聖杯伝説 キリストの暗号』を見た友だちは「神父様、素晴らしかった。聖骸布ができた方法がよく分かりました。コロナ放電によるものですね」と感激していました。先日また、wikipediaの「聖骸布」を開いてみたら、同じ話が出ていました。やはり、そう信じている人がいるようですね。

私は、番組に協力したものとして、番組を批判するつもりはありません。全体として良かったと思います。日本には、聖骸布についてこれほど充実した内容を放映したテレビ局は珍しいです。ただ、最後のところ、クローンの話や、コロナ放電の話は私は賛成できません。視聴者の好奇心を引くためならともかく、もし学問としてこれを考えることであれば、私は断固としてそれを否定します。

まず、番組に登場するイタリアのFanti氏は、最近、偏った発言をすることが多く、学界では受け入れられていません。たとえば、地震の際「花崗岩」が圧縮されて放電すると言います。それは結構ですが、イエスが葬られたエルサレムには花崗岩はなく、「石灰岩」です。「でも地球の深層に花崗岩があるでしょう」と言います。そう言えば、地球上どこでも起こる現象であるはずです。しかし、聖骸布はユニークなものです。

また、コロナ放電を証明するためにXeroxのトナーの原理を引っ張り出しました。白い布に真っ黒いトナーをかけ、その中に金属の人形を包んだ。そして、放電したら静電気が起こり、当然、布に付いていたトナーが、人形に移ることになりました。『御覧なさい。黒い布の上に、白い人形の姿ができたのではありませんか。これは聖骸布と同じです』と。なお、このことを言いたいがために、イエスを葬る布を買ったとき、布に「ほこり」がいっぱい付いていた、と勝手に決め付ける。皆さん、このことが信じられるのですか。

実は、この実験によって出来上がったのは、聖骸布の正反対のものでした。聖骸布の場合、姿が見えるところは変色しています。ここはかえって、布が黒く、姿だけは白くなっています。静電気によりトナーが人形に移ったわけです。白い輪郭が見えるようになったのですが、その輪郭の中には、聖骸布と違って、何の情報も見出すことはできません。単なる白い布に過ぎないのです。

もし、これで聖骸布を説明するための新しい発見をしたと思っていれば、世界の学会で発表すればいかがでしょうか。もちろん、笑われることになるでしょう。私が思うには、日本の科学はこの程度のものではありません。聖骸布について発言したい人は、まず、聖骸布とは何であるかをよく研究すべきなのです。

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聖骸布のホームページ www.sindon-jp.com
チマッティ資料館のホームページ  www.v-cimatti.com