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(26) 日常生活、ハンセン患者の診療所、天皇崇拝の問題
宮崎1926年6月30日
Rinaldi Filippo リナルディ・フィリポ神父へ敬愛なるリナルディ神父様、
今月のニュースをお送りします。(略)
6月12日 日本の保護者、汚れなき聖マリアの御心の祭日です。1884年、日本の知牧区の最初の教区長となったフォルカーデ神父が立てた誓願による祝いです。
この頃、枇杷の初物が姿を見せています。ヨーロッパより大きく、瑞々しいです。6月13日 聖アントニオの祝日。カヴォリ神父の霊名日を祝いました。 6月17日 大淀川にそって遠足に行きました。素晴らしい眺めでしたが、景色よりも素晴しかったのは、数の多い貧しい若者たちでした! ああ、主よ、いつから、若者たちを相手に仕事を始められるのでしょうか。(略) 6月18日 宣教師Boulteauブルトー神父が私たちを訪ねてくれました。こうした神の人との付き合いから、常に学ぶことがあります。皆、私たちを見たい、知りたいと言っています。同神父が住んでいるのは、政府のハンセン氏病患者(500人以上)がいる枇杷崎の診療所です。このような病院における回心の難しさ、結婚のトラブル、異教徒の男女交際の乱れなどについて話してくれました。生まれてくる子供たちはフランシスコ会のシスターがたに任せられています。神父の考えでは、日本人が宗教に関心を持つようになるのは、物質的な世話をすることを通してです。 私の意見では、若者を相手に間接的布教に力を入れ、邦人司祭を養成することはより大切なことです。なお、今の信者たちをより良く組織し、もっと教会の「外」に出るようにすべきです。能力ある邦人司祭たちが講演のために回ればよいとも思います。ところが、そのための手段を持っていないようです。
当時の遊ぶ子供たち もう一つ、天皇崇拝について司教や宣教師たちの間に意見の食い違いがあり、(道徳の細かいことについても同様ですが)、これは未解決で、難しい問題です。キリスト信者がこのような儀式に参加して良いかどうかのことです。宗教行為だと主張し、許されないと言う人がいます。最近、3人のカトリック兵士が自分の信念に反すると感じて、誓いを拒否しました。政府はこのことをどう捉えているか、使節閣下はどう受けとめておられるのでしょうか。まあ、上の方々がこれに矛盾を感じているようです。(最近、政府も検定教科書から神話のような部分を排除した方が良いと考えるようになったようです)。
一方、天皇崇拝は私たちイタリアのファシストの敬礼のようなものだと言い、かまわないと考えている人がいます。学校では学童や青少年に義務付けられているし、国民もそろってそれを行なっています。したがって...。
イエス・キリストのうちに敬愛を込めて
V.チマッティ神父
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