(23) 日本語の構造。第一の説教。宗教団体法の準備

宮崎1926年5月30日
Rinaldi Filippo リナルディ・フィリポ神父へ

敬愛なる私の良いパパ、

いつもこの名前で呼ばせてください。私がより良いサレジオ会員である気がするからです。今日、5月30日、私たちはお母さん〔マリア様〕の月を締めくくりとして、月の「良い死の練習」〔静修〕を行っています。ここは午前6時30分、向こうは晩の9時‐10時頃です。神父様はテーブルに向かい、もしかしたら私たちのことをお考えになり、書いたり、祈ったりしていらっしゃるでしょう。その姿が目に浮んできます。私は、もうミサを立て、30分の黙想も終え、月の報告と会員の情報を送りたいと思います。

私は、神に感謝して、すべての面、睡眠も食欲とても良好です。というのは、雑草はね…。あの方〔神様〕がこのようにしてくださったのですから…神に感謝! この点でも良い手本を示したいと思います。

今、日本語の勉強に全力を入れています。頭が少し固いのですが、失望はしていません。言葉を消化し暗記するには、時間がかかりますが、マリア様を称えるために、後でも申し上げますように奇跡を行いました! 日本語は、表面的にはやさしいですが、軽く見てはいけません。単語が豊富で、文章はひねっていて、文の構造が変わっています。否、あまりにも論理的です。日本人の考え方は独特で、私たちには変と思われます。けれども…がんばります! 必要なら、神様は奇跡を行なってくださるでしょう。ともかく、務めですから、もっと力を入れたいと思います。マリア様は助けてくださるでしょう。努力を止めずに、いや、努力を増しながら慰めになるのは、聖フランシスコ・ザビエルが私たちほど話せなかったことです。最近の伝記には、日本語ができなかったと書いてあります。それでも、聖人だったのであれほどの成果を上げました。日本にいる、総会長様の子たちも聖人となりたいのです。当然!

他の仕事としては、私は今『ドン・ボスコの予防教育法』の翻訳を始めようと思っています。(活動を始める時に宣伝できるためです。)(…)

もし、私たちはすべてにおいて日本に適応できれば、生活費は安くなりますが、日本食が特種なので、非常に難しいことです。(…)

別紙に一般のニュースを加えます。サレジオ会機関誌Bollettino Salesiano のため、何を書けばよいのでしょうか。日本についてですか。信者のためにやった仕事ですか。私たちは、いくらか働いてはいますが、責任を任せられるまでは何も言わないほうが懸命だと思っています。(…) ともかく、お送りするものが役立つかどうかは、ご判断ください。大切なことは、日本について良いことを書くことです。私はそのことに値する国民だと思っています。

最後に、わが良いパパよ、私たちがあなたの末っ子であることを、思い出してください。皆、皆、皆、思い出してほしいのです。

あなたのいたずらっ子のサレジオ会員チマッティ神父

追伸 − 次は、毎月送っている一般的なニュースです。

話によると、非常に大事な宗教団体法が今準備中であり、近いうちに発表されるでしょう。作成には、僧侶8名、プロテスタント1名、カトリック1名が参加しています。2人のクリスチャンが入っていることは意外です。(…)願わくは、この法律が神の御摂理の導きにより、日増しに宗教問題に目覚めつつあるこの優れた国民の中にイエス様の勝利をもたらすことに役立つように(すべての新聞もこれについて話している)。日本は、今、キリスト教を知り始めていて、少なくとも話題にし始めています。この新しい法がカトリック教会に障害にならないことを期待しています。余りその心配はなさそうです。東京でカトリックは良く見られているし、皇太子の侍従山本信次郎師もカトリックであるし、準備委員会にも日本人のカトリック司祭が入っているからです。邦人司祭は、話す時に遠慮なく話します。もし、外国人の私たちが議論の中で少し強い言葉を使えば...大変なことになります(その意味で、外国人は別な目で見られている!)。日本人司祭はどれほどきつい言葉を同国民に対して使っていることか…。ともかく、期待して祈りましょう。

言葉の勉強に関しては1歩1歩ですが、確実に進んでいます。発音を除けば(これでも随分助かる!)、文の構造は完全に違います。将来、日本に来る人たちにこのことをよく知らせてください。

この前、どんな大変なことをしたかを聞いてください! …練習のため、また恐れを吹っ飛ばすためにも(そして他はできないから)マリア様の月と祝日にあたって聖母を称え、その助けを求めるために、9日間の祈り中信者たちに短い講話をしました。書いた文を直してもらい、暗記して話したら、皆、理解したそうです。神に感謝! これほどの説教者がそろった聖堂は、世界中にどこにもないでしょう。(…)この機会に、『聖母マリア日本の元后、殉教者の元后、キリスト信者の助け、我等のために祈りたまえ』という祈りを作曲し歌いました。毎日、朝晩2回儀式が行われ、参加者は少なくありませんでした。

もちろん、これで十分に話せるようになったわけではありません。教会の中雄弁家でも、外に出ると魚のように無口です。マリア様が助けてくださいますように。(…)

日本人は、読書欲が旺盛ですから、図書館が必要でし。これは、一般の人を引っぱるためにも役立ちます。また、遊び場、サークル、クラブを作り、これらを固め、発展させる必要もあります。

服装に関して日本は西欧化しつつあります。公務員、学校、銀行などは皆そうです。どこでも木造・木材が建築に使われ、機械化も大事にされています。(…)日本の一番よい建築は、学校です。それは緑に囲まれていて、体操のための広い運動場もあり、体操がとても重視されています。(…)

ここには忍耐強い人が必要です。腹を立てれば、癒しにくい敗北になります。日本人にとって怒ったり、忍耐を失ったりするのは最大の弱さ、信頼を失わせる原因です。このために人を転勤させなければならなかった修道会もあります。ここの人たちの心の中を読み取るのはとても難しいことです。子供は違います、私たちの信者も違います… でも、彼らも…。表情を変えないであなたを見、あなたが笑えば笑いますが、あなたを観察し評価します。私たちはどう評価されているのでしょうか! まあ、これから分かることになるでしょう。

チマッティ神父