(22) 教え子は懐かしい。日本は先進国

宮崎1926年5月18日
Giordano Antonio ジョルダーノ・アントニオ神学生へ

いつも親愛なるアントニオ君

昨日、君の最初の手紙が届いた。今、午前4時、イエス様と共に君と友だちのために長く祈った後テーブルに向かって、蛙と雄鶏の鳴き声が静けさを破るなか、返事を書いている。日本の家が戸と窓ばかりだから、戸を開ければ、30分ほど離れている太平洋の波音が聞こえる。

君は、最後の手紙に私から何かほしいか、具体的に何も書いていない。私から思い出してほしいということなのか。もちろん、主がご存知のとおり、君たちを思い出しているよ。良いサレジオ会員であってほしいのだから、君たちのために命を捧げたことを、主はよくご存知だ。我が兄弟たち、神学生よ、君たちを思い出し過ぎているのだ。私は、君たちを慕い過ぎたので、人間的な気持ちが入り込んでしまったのではないかと心配しているぐらいだ。けれども、その時、またこれからも、ただ君たちの魂のためにやったのだと、イエス様もマリア様もよくご存知だ。そうよ。君たちを思い出しているのだ。こことの時差が9時間だから、君たちが一日の仕事を終え、功徳とお恵みを積んで寝に行く時、私はミサ中で君たちめいめいを思い出している。これ以上、何を言えばよいのか…。このぐらいにして置こう、でなければ…。

私から手紙を書いてほしいというのか。私は、はっきりした方針を持ち、最期までこれに従うつもりだ。回勅みたいなものは要らないが、受け取ったら、すぐに返事を書く。だから分かったね…。

では、皆に何を書けば良いのか。日本についての情報か。それはどんな本にも書いてある。細かいことを除けば、知られていないことは何もない。日本は、世界に例のない国だ。物質面では栄え(先進国で、いろいろな面で私たちを追い越している)、同時に自分の伝統をよく守る。西洋化したというよりも、西洋の文化を日本の趣味と利益に合わせているのだ。よく分かったかね。特別な情報がほしければ、それを言えばいいのだ。私はそのような人だから。ヒントがなければ、頭は反応しない。君たちがヒントをください。(…)

我がアントニオ、がんばっておくれ。イエス様とマリア様が君をあらゆる良いことで満たしてくださるように! お母さんのためにも祈る。多くの祈りと共に、心から君を抱きしめる。

V.チマッティ神父